【漫画の描き方】初心者が本当に揃えるべき道具2つと描き方の手順とは?
本記事が初投稿となります漫画人トウカ(マガジントウカ)です。
今回の内容は、
- これから漫画を描き始めたいけど何から始めたら良いか分からない。
- イラストを描くのが好きでよく絵を描くけど、漫画にも興味がある。
- 実はこっそり漫画を描いたことがあるけど、我流なので正しい方法や始め方を知りたい
…といった方に向けて楽しんでいただければと思ってまとめました。
早速本題に入っていきます!
初心者が本当に揃えるべき道具2つと描き方の手順とは?
パソコン不要!? 揃えるべき道具2つ
まず結論から言うと、「鉛筆(シャーペン)」と「紙1枚」
…これだけです。
おいおい待てよw いくら初心者に向けての内容だからって”紙”と”鉛筆”だけってそれは舐め過ぎじゃないか?
…っていう反論が飛んできそうですが安心してください。あくまで「入り口」のハードルが低いだけなので、これからちゃんと「漫画を描き続ける」という修羅の道へと誘って差し上げますよ? フフフ…。
では「紙と鉛筆だけ」とはどういうことかを説明しますが、その前に”本当にパソコンは不要なのか?”問題について言及すると、
- 「短期的」に見ると不要
- 「長期的」に見ると必須!
となります。
皆さんもすでに分かっていると思いますが、ここ数年でデジタル作画の技術やクオリティがうなぎのぼりとなっており、今後もさらに加速していくでしょう。
そんな中アナログでハイクオリティ、ハイスピードの仕事をこなし、一流の作者の中でのし上がっていくのはとても現実的ではありません。
今の時代、いかに幼少期の早い段階から”デジタル作画”に触れ、「デジタルネイティブ」世代として技術を成長させていくかが重要視されます。
そういう意味では長期的にみて早い段階からパソコンやペンタブレットを用意する必要があります。
が、それなのになぜボクが大見出しを付けて「パソコン不要! 紙と鉛筆だけ!」ということを一番に主張するかというと、それは…
「漫画を描き上げる」ということは僕らが考えているより圧倒的に時間や精神力が必要で、平たく言うと
大変過ぎるから
…なのです!
ここで1つボクの失敗エピソードをば。
ボクは漫画学科のある専門学校に通っておりまして、その学校では自由参加型の「批評会」というものがありました。
それは、学校に実際にマンガ編集をしている編集者さんをお招きし、生徒が描き上げたマンガ作品を見てもらえ、更に優秀な人は名刺をもらいそのまま担当が付くことになる…というモノでした。
当時の僕は1年生の頃から尖っており、(これに参加しない奴はやる気なさ過ぎでしょ?)と息巻いて、1度もマンガを描き上げた経験が無いのに「参加します」と先生に宣言してしまいました。
結果から言うとボクは批評会の日までに漫画を描き上げることが出来ず、先生に怒られ、そしてその「描きかけ」の作品を描き上げるモチベーションまで失い、お蔵入りにしてしまったのです。
つまりこのエピソードで何が言いたいかというと、
- 漫画を描き上げるのに必要な時間は、ボクらが考えているよりも圧倒的に多い。
- 「失敗」や「お蔵入り」などにより無力感を感じると、大幅に漫画を描くモチベーションを下げてしまう。
という事です。
これらの教訓からボクが初心者さんにお勧めしたいこと、いえ、是非お願いしたいことが2つありまして、それは
- はじめは”小さい”漫画を描く
- 途切れてもいいので、毎日描く
…です。
1言にまとめると「”最小”の漫画を描くことを習慣化せよ!」となります。
「え? ”最小”の漫画って?」
「いや、だからその漫画を描く方法が知りたいんだって…」
という方、お待たせしました。
次の項目から具体的に内容を解説していきますね。
描き方の手順てあるの? 初心者が始めるべきは○○!
ここからは漫画の描き方の手順を具体的に解説していくわけですが、このブログにきて「漫画を描く手順」を知りたい方たちはおそらく、
- ネタ出しをして、
- プロットを立て、
- ネームを描いて
- 下描きをして
- それから…
という内容を知りたくて読んでらっしゃると思いますが、今回はそういった内容、調べれば他の人が誰でも書いているような内容については書きません。
今回お話しする内容はもう少し正確に言うと、「漫画を描くことをライフワークにしていくための要領」となります。
では早速結論から言うと、初心者が始めるべきは…
3コマ漫画を描く!
…です。
「ん? 4コママンガじゃなくて3コマ…?」と思った方も多いでしょう。
それに「いやいや、俺は長編のストーリー漫画が描きたいんや!」とか「俺はギャグマンガが描きたい訳じゃないんや」という方もいるでしょう。
そういった方たちは今すぐにこのブログを去り、自分の描きたい壮大なストーリー漫画を描き始めても良いでしょう。でも予言します。
そんな方々はたいてい1週間、長くても一か月漫画を描き続けたら、中々思った通りに進まずモチベが下がり、その作品をお蔵入りにしてしまうでしょう。
ボクが先ほど話した失敗談そのままを演じることになるのです。
完成させたこともない分量のページ数に焦って挑み、敗れ、そして無力感から作品をお蔵入りにしてしまうのです。
なので3コマ漫画を描くようお勧めした意図としては、
- 最初は失敗しようのない分量から始める
- 毎日手を付けられる分量なので、「毎日描く」を「当たり前」にする
- 3コマで話作りの基礎が身につく
というものがあります。
人間は結局「楽をしたい生き物」なので、今までやった事のない行動や労力に抵抗があるモノです。それは皆さんが怠け者なんだという事ではなく、今まで人類が繁栄するために必要だったホメオスタシスという機能でもあります。
なので、まずは焦らずに可能な分量で「毎日描く」を続けてほしいのです。
そして「続けた」結果、「漫画を描く」ということに初めてモチベを感じられ、漫画を描くスピードやクオリティが加速し、エスカレートしていくのです。
「モチベが高い」から続くわけではないのがポイントですね。実は逆なんですよ。
「なるほど、いきなり自分の力量に合わないページ数から描き始めてはいけないのは分かった。でも何で1ページマンガではなくて3コマ漫画なんだ?」
と皆さん思っている事でしょう。
そこには明確な意図がありまして、先ほど話した「3コマで話作りの基礎が身につく」というメリットがあるからです。
簡単に言うと「3コマ漫画づくり」は話作りの筋トレなのです。
皆さんは「序・破・急」という言葉をご存じですか?
もとは歌舞伎や能で用いられた言葉で、今回のような漫画や映画のシナリオの世界では三幕構成とも呼ばれたりします。
内容としては、物語の流れは主に3つのパートから成り立っているという考え方になります。
ではここからは”3コマ漫画的”序破急を説明していきますね。
序
まずは冒頭のコマ。「主人公の状況や世界観設定」が見て分かるコマを描きましょう。
ここでは例として、「部活中の高校生」を漫画にしてみます。
背景には学校の校舎やグラウンドを描き、遠巻きに野球部やテニス部がランニングしています。
そして主人公はそのランニングの列の最後尾からこっそり抜け出し、「はぁ、はぁ…キッツ…」とつぶやいています。
ここでポイントは、あくまで”見て”分かるコマにすることが大事です。
いくら3コマしかないとはいえ、主人公が説明口調で「俺は高校生で野球部の練習中についていけなくてサボろうとしているんや~」なんて吹き出しがあったら興醒めしてしまいますよね?
なるべく最小限の自然な話口調のセリフ、そして状況説明は”絵”で語る…を意識しましょう。
破
次は一言で言うと「行動、アクション」のコマです。
冒頭のコマ(序)を受けて、主人公がどんな行動を起こしたのかを描きましょう。漫画
の一番の見せ場であり、華です。
先ほどの例の続きで言うと、「序」でランニングの列を離れた主人公は練習についていけないどころか、サボろうとしてクーラーの利いた図書館に寄ろうとするシーンを描くとします。
このシーンのポイントは、主人公の性格が顕著に表れた行動をさせてください。
ステレオタイプな行動ではなく、そのキャラ、その主人公だからこそ取るであろうアクションを起こしましょう。例えば「ワンピース」なら、海賊のルフィが仲間の為に自分から海軍に乗り込んでしまう!…みたいなことです。
急
最後のシーンはいわゆる「オチ」ですね。
「破」での行動の結果、主人公がどんな結末を迎えたのか。
主人公が周りにどんな影響を与えた、与えられたのか。そして主人公はどんな教訓を得たのか。
これ等を描くコマになります。
先ほどのサボり少年は図書館に入ろうとすると、図書館で地獄の特訓メニューを練り終えたばかりの顧問の先生と鉢合わせし、返ってきついメニューをさせられる羽目になりました…チャンチャン!(END)
この「オチ」のポイントとしては、読者の
「期待」は裏切らずに、
「予想」を超える展開を描きましょう!
まぁこれが難しいんですけどねw
…といった感じの流れが「序破急」です。
どうでしょうか?イメージ掴めましたかね?
「漫画のストーリーを描くって、何を描いたらいいか分からない」という人も、このように各パートで「何を見せるべきか?」が決まっていると想像を膨らませて描きやすいのではないでしょうか?
今回は3コマ漫画という体でお話ししましたが、これがストーリー漫画になってもすべきことは同じです。32p漫画だったら冒頭シーンを8p、見せ場のシーンを16p、ラストを8pで描けば良いだけなのです。(割合は1:2:1がオススメ)
よって「3コマ漫画はストーリー構成の筋トレ」なのです。
ここまで3コマ漫画が初心者にとって有効な「筋トレ」に当たる練習法であることは語ってきましたが、今までキャライラストやストーリー漫画を描いたことのない人が「さぁ、今日から3コマ漫画を描きましょう!」と言われても(いや、だからキャラが描けないんだって…)と思うでしょう。
中には「コマの大きさは何センチで描けば?」という所が気になって先へ進めない人がるかもしれません。
そんな人たちはまだボクの話した「はじめは小さいマンガを描く」の意味を理解していないのかもしれません。
先に答えから言うと、まずは棒人間でOK! コマも定規なしのフリーハンドでOK!なのです。
ボクが初めに話した「紙と鉛筆だけでOK」という発言には、漫画に取り掛かるハードルを極端に下げるという意図もありまして、これによって漫画を描くことを習慣化できる確率がぐんと上がります。
初めからパソコンを使ってデジタルで漫画を描こうとしても、おそらくなれない操作や紙の上で描くのと違った書き味に戸惑ううちにマンガを描くことが面倒になって、「今日はいいや…」となってしまうのです。
その「今日はいいや…」対策が、「紙とペン」、「棒人間でフリーハンド」なのです!
皆さんも今日から選択してみましょう。
パソコンを点けてデジタルで漫画を描こう!…と意気込んでうっかりYouTubeを見たりウマ娘を起動して因子周回を始めてしまうのか、それとも「はじめは自分に合ったハードルで!」と3コマ漫画から始めるのかを…!
これで10年棒に振った⁉ 初心者にありがちなミスとは?
ここでは最後に、初心者がやりがちな、もといボクが今までマンガを描き続けてきて(あぁ最初からこうしていればなぁ)と後悔した話をしていきたいと思います。
一つ目はやはり、ここまで何度も話してきましたが、実はボク自身が「はじめから壮大なストーリー漫画を描こう」として、「漫画を描く」ことを習慣化できなかったクチなのです。
なので、専門学校に入っても、卒業後独自に漫画家目指して作品を描き続けていても、漫画を長く描き続けるのがきついままでした。
ボク自身はイラストを描いたり話を練るのは好きなのに、なぜ長時間、長期間漫画を描き続けるのが苦痛なのかが分からず辛かったです。
なのでこれから漫画を描き始める金の卵である皆さんにはぜひ、小さなことから始めて少しずつ漫画を描くことを好きになってほしいです。
だって漫画を描くことは誰に言われるでもなく、自分が「描きたい!」と感じて選択した道なのだから。
二つ目はここまでこれから漫画家を目指す人たちに向けて書いてきた内容と、一見矛盾することに感じるかもしれませんが、「最初に稼ぎ口を見付けろ!」です。
「今まで漫画家になりたきゃこうしろ!と宣ってきて、他の職に付けとはどういうことか?」と思ったかもしれません。
現在実家暮らしで、しかも超大金持ちで、漫画家を目指すことも認めてもらえ、親から多額の資金援助をしてもらえる家庭に生まれた人なら例外かもしれませんが、ボクみたいに実家が借金を抱えていて、家計の為にすぐ上京したような人はとにかくお金がありません。
そして自分のパソコンを買ったりペンタブや左手デバイスを買いそろえたりと出費はかさむし、何より漫画家として大成できるまではいくら漫画を描いても収入にならないのです。
「自分は後、何作描いたら漫画家になれるのか…?」「このまま漫画を描き続けても何者にもなれなかったら…?」
という不安に常に襲われる恐ろしさはまだ分からないかもしれませんね。
いや、これからの漫画界を背負っていく若者たちには知って欲しくない苦労です。
なのでボクがオススメしたいのは、漫画を描く習慣を身に付けつつも、「お金の稼ぎ方」の勉強をしていってほしいです。
マネタイズや投資の仕方を学ぶことはこれから漫画家を目指す人たちには必須であると断言しておきます。
安定した収入を得ていることが余計な時間浪費を防ぎ、余った時間と余裕のある心が面白いネタを生み出すのです。
最後に三つ目は、「実力は後で付けろ!」です。
ボク自身今まで(自分にはまだ人に作品や意見を発表できる立場や実力が無い)として、自分から発信するということをしないで来ましたが、これは今考えれば一番バカな行為でした。
当時のボクは頭でっかちに知識を詰め込み、自己満足なイラストやキャラを描いて「上達している」つもりでいました。が、友人に見せた時、SNSにアップした時に初めて作品に対する”自分”の評価と”他人から”の評価が違うと気付きました。
例えばボクは「仮面ライダー」シリーズに登場する怪人デザインが好きで、自分の漫画内でも変身ヒーローやモンスター、クリーチャーをデザインして登場させていました。
しかもボクは独学ではありますが色々なクリーチャー、モンスターデザイナーのデザイン画集を買いあさり研究し、デザインすることに自信があったのです。
しかし実際に友人にクリーチャーの登場するマンガを読んでもらったところ、何匹か登場するクリーチャーがどれも同じに見えており、「違いが分からなかった」と言われてしまったのです。
自分の中ではクリーチャーデザインのシルエットを差別化するなどの工夫をしていたつもりでしたが、特にクリーチャーに興味もない人(漫画を見せた友人)にとってその工夫は取るに足らない事だったのです。
これは当時のボクにとって衝撃でした。
「こんなに描き分けても(違うキャラだと)認識してもらえないんだ…」と思い、”自分視点”と”他人視点”の違いを知りました。
そして今まで自分視点と他人視点のズレを知らずに作品を作り続けていたことが恐ろしくなりました。なんでもっと早くこのことに気付けなかったのかと…。
それからボクは漫画を完成させるよりも前に、設計段階のネームやプロットを他人に見てもらい、フィードバックを得ることを重要視するようになったのです。
SNSで意見や作品を発信していきたい人も同じです。
「実際に発信した」経験に勝るフィードバックや成長はないのです。
そして、実際に発信しつつスキルアップを狙う最短の方法としてこんなサイトもありますので良ければ見てみてください↓
「自分の作品のレベルは自分が一番よく知っている」と思っていた時期がボクにもありました。実際にTwitterやPixivで自分のアップした作品をプロのそれと並べた時に自分のレベルを知りました。
これから漫画の道に進もうという人にとっては「プロの作品と比べるなんてそんなことムリ…!」と思うかもしれません。
もしかしたらそんなことする必要ないのかもしれません。
でも皆さんがこれから有名漫画家としてやっていくならいつかは「発信する」時が来るものです。
それは遠い未来の話ですか?
実力をつけて1年後?
それとも…
いずれにしても発信を始めた時点からあなたはプロであり、ボクの同業者です。
少なくともボクはそう思っています。
皆さんのこれからに良き漫画人生があらんことを!